中華ダックスに一年乗ってみた結果

整備

2021年1月に我が家に中華ダックスが届いてから丸一年が経過した。せっかくなので一年間この中華キットバイクに乗ってみて、実際のところどうだったのかといった部分について話していきたい。ちなみにこのバイクを僕は通勤通学などでは使っていないので、この一年間での走行距離はメーター読みで900km弱しか無い。この中華ダックスのODOメーターは実際よりも少し短めに出ているような気もするので、実走行距離は1000km超えてるぐらいかとは思われる。

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中華ダックスに一年間乗ってみた結果

というわけでQ&A形式で中華ダックスに一年乗ってみて思った結果を書いていく。ちなみに僕の車両はミニモトのカスタムスタイルバイクNO16-125ccで、九州への送料込み約11万円で購入している。執筆中に販売ページを見たら購入時よりも車両価格が1万円上がっていた。ここ最近は輸送費が高いから仕方ない。

Q.壊れますか?

A.壊れます。

実際にこれまでに起きた不具合や故障については[これまでに発生した不具合【中華ダックス】]というページに纏めてあるので確認してほしい。

読めばわかるとおり、大したトラブルは発生していない。電装系がやたらと弱い事による不具合がほとんどで、それ以外の部分に関しては整備をちゃんとすれば、少なくとも「走る・止まる・曲がる」の部分について致命的なトラブルの発生はない。…雨で止まったのはむき出しのエアフィルターのせいなので、雨天で走りさえしなければ問題ない。

あとゴム系の部品はボロボロ崩れていくし、金属部品はメッキや塗装がされていようが無かろうが片っ端から錆びが発生する。空調管理されたガレージ保管の場合とかだとわからないが、カーポートの下などの環境だと、見るたびにどこか錆が増えていく。あとシートの下側がやたらと黄色く変色する。そういうものだと楽しめる広い心が必要。

ちなみに最近は嘘Nランプは付かなくなったし、ニュートラルには入りやすくなったし、異常に重かったシフトレバーも当初よりはだいぶ軽くなった。色々とこなれてきたらしいが、1速に入れるときはちょっと強めにレバーを踏まないと勝手にNに入ったりする。ちょっとした癖はあるものの扱いやすくなってきた。

Q.最高速度は何km/hですか?

A.知りません。

僕の中華ダックスは小型軽量な車体に125ccのエンジンを搭載しているだけあって、十分に速い。制限速度+αぐらいのスピードで流れているバイパスの流れをリードすることは余裕で、出足もいい。キツめの上り坂を60km/hとかで登るのは流石に厳しい部分があるが、一般的な速度域でパワー不足を覚える場面は極めて少ない。

強いて言うなら、クローズドコースで試した限りメーター読み90km/hは出せることは確認済み。僕の中華ダックスにはリターンレスで負圧式の燃料ポンプを装着しているためか、ちょうどこのあたりの速度域でキャブレターがオーバーフローして失速してしまうのでこれ以上は未確認。ちゃんと対策の上、最高速を伸ばすセッティングすれば100km/h超えは余裕だと思われる。ただスピードを出していくと車体がかなり不安定になってくる。そもそもそんなスピードを出す乗り物ではないし、それが目的の人は別のバイクを買うべき。

Q.最初に最低限やったほうがいい整備はありますか?

A.いろいろあります。

とりあえず届いたら初期整備としてエンジンオイル交換とキャブレターのエアスクリューを正す。さらに各所のネジがきちんと締まっているか確認する。ショートパーツを組み立てて、チェーンテンションを確認、チェーンルブを塗って、タイヤに空気を入れて、エンジンがかかればOK。

ブレーキフルードの品質がめちゃくちゃ悪いので、フルード交換は必須。中華エンジンの定番であるカムチェーンテンショナーのゴムも早めに変えておいたほうが良いし、激重のクラッチは少なくともワイヤーホルダーの角度だけでも正しておくべき。初期設定でも一応走れるが、ちゃんと走りたいならキャブレターのセッティングも出したほうがいい。

純正タイヤはタイヤの形をしているだけでグリップのグの字もないので、それなりに信頼できるメーカーのタイヤに交換をオススメ。好みの問題ではあるのだが、付属のキャッチタンクは性能的に意味はないどころかエンジンオイルの劣化を早めているので、取り外したほうがいいかもしれない。あとガソリンタンクの中が錆びているので、こちらも早めに処理した方が良い。そのついでにガソリンホースは国産に交換しておこう。ガソリンホースが劣化して割れたら最悪炎上する。

あとは最近少しアクスル周りから異音が出ることがあるのでホイールハブのベアリングが危ない気がするのと、伸びまくるチェーンはそろそろ交換したほうが良さそうな雰囲気が出ている。部品が壊れそうな気がしてきたら、順次早めに交換していくのが吉。

Q.やってよかったカスタムは?

A.サブタンクの増設がオススメ

本家ダックスの純正ガソリンタンクの容量は2.5L。僕の中華ダックスもそれぐらいで、頑張れば3.0Lぐらい入る。燃費はおよそ40km/Lほどなので100kmほどは走れる計算になるのだが、これが結構心もとない。中華製で良いのでガソリンタンクを1L増設しておくと安心感が出る。合わせて燃料ポンプも追加したほうが良い。

あとこちらはやらなくてもよいが、セミ油圧クラッチ化すると激渋なクラッチワイヤーを排除できるのでクラッチ操作がだいぶ楽になる。スプロケットもちょっとロングにするとエンジンの回転数を落とせるので、ビリビリする振動が少し減らせて楽になる。

Q.通勤通学に使えますか?

A.使えないことはないと思いますが、やめたほうがいいとも思う。

とにかく電装系が弱く、走ってる途中にヘッドライトやウィンカーが切れる可能性が極めて高い。振動が多いのでしっかりネジを締めていても緩むこともあるため、部品脱落も起こりうる。「最悪押して歩けばよい」ぐらいのつもりで使うなら余裕で通勤通学に使えると思うが、不満なくノントラブルで必ず職場にたどり着きたいなら別のバイクに乗るべき。もし乗るとしても、雨に当たるとむき出しのエアフィルターのおかげでエンジンが止まるので、全天候型のエアフィルターに交換するか、適当な囲いをエアフィルターにかぶせるべき。

ちなみに数ヶ月放置していてもエンジンは問題なくかかるので、そこに関してはあまり心配しなくていい。

Q.不満はありますか?

A.足回りの不安定さはどうにかしたい。

ガタツキがある上に硬すぎ、更には動きが渋いフロントフォークはどうにかしたい。リアサスペンションはきちんとストロークするのだが、ダンパーとしての機能は果たしていない。リアサスはまぁいいとしても、フロントフォークは要改善なので近々分解整備をする予定。

…でもこの機能してなさすぎるサスペンションが狂気の乗り味の元凶なので、これが改善されたらそれはそれでつまらないのではないかという思いからなかなか整備していない部分もある…。まともになったら面白くない。少し(?)出来が悪いぐらいが可愛いものでしょう?

あと爆音で見た目もそこまで好みでないマフラーも交換したいのだが、かっこいいなと思うマフラーは軒並み値が張るので後回し。全塗装もそのうちしたいが、めんどくさい。

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Q.中華キットバイクが欲しいのですが、私にも扱えますか?

A.その質問をする時点でやめたほうがいいです。

キットバイクを取り扱っているバイク販売店か、よほど仲の良いバイク屋でもいない限り、この手のバイクを気前よく整備してくれるバイク屋は普通いない。なぜならパーツリストがないのでどのパーツが付いているかわからないし、ネットの情報もあなたのバイクに適合するかどうかわからないから。キットバイクとはそういう物なのである。見た目が同じ部品なのに中身がぜんぜん違うということはザラにある。何が起こってもだいたい自分で対処できるし、多少の故障は笑い飛ばして不具合を楽しめる人でない限り、触るべきじゃない。そしてそういう人はこんな質問を僕にする前にキットバイクを買ってるはず。

車両価格も部品も安いとはいえ、直すのには工具や知識、そして時間が必要。諸々のトラブルやそれにかかる費用、故障してツーリングに行けなくなる悲しみなどをトータルで考慮すれば、あなたには国産バイクが向いている。

それでも中華キットバイクは超楽しい

と、きついことも結構書いたが、それでも中華ダックスはとても楽しい。

いまどきありえないぐらい振動するエンジンのおかげで全身がビリビリするし、シートも分厚いだけで尻が痛くなるし、置いてるだけで朽ちていくし、ボルトを回すだけで塗装がバリバリ剥がれる。そこらじゅうから聞いたことのない異音がして、10秒後にまともに動いてる保証すら無い。全部の部品はコピー品で、その品質はあまりにチープで、ネジ一つ取っても歪んでる。ヘッドライトなんて単一電池を詰め込む昔の懐中電灯並の明るさしか無い。

それでも楽しい。

史上最強の馬鹿になった気分だ。

一度走り出しアクセルを捻ればトルクフルなエンジンが自由自在に速度を載せてくれるし、小柄な車体は取り回しが抜群だし、貧弱な足回りが生み出す不安定さが謎の興奮をライダーに覚えさせる。カスタムされたような見た目は初っ端から結構かっこいい。きっと僕はもうキットバイクの熱に当てられすぎてしまったのだろう。次に何が壊れるのか楽しみで仕方がないのだ。

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