中華ダックスのフロントフォークはやたらとガタツキが多い。インナーがアウターに対してガタつくので走りが不安定になるし、おそらくフォークのインナーとアウターの角度がおかしくなるためストロークもスムーズでなく、動きが渋い。そもそもローダウンスタイルのためスプリングが硬めになっていることも合わさって、段差を踏むと吹っ飛ばされそうになることさえある。
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どうも同じフロントフォークを採用している中華キットバイク(モンキータイプやシャリータイプ)ではよくあることらしい。あえてこの状態で購入から1年間乗ってみたが、フロントフォークの改善を行いたい。
フロントフォークのガタツキを抑える
フロントフォークの分解
まずはフォークを分解していくので、フォークに付いているものを撤去していく。
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アクスルシャフトを抜いてフロントタイヤを外し、フェンダーも取り外す。
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ブレーキキャリパーも取り外す。10mmのボルトを2本外して、キャリパーは適当な場所に避けておく。
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フォーク上部にある14mmのボルトは、ひとまず軽く緩めておく。結構固く締まっていたので、ジャッキアップ前に緩めるほうが安全かも。
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アウターフォークにかぶさっているキャップ(赤)をくるくる回して取り外す。外している最中にシールと思われるゴム(緑)が千切れながら出てきたのだが…適当に組み付け過ぎでは…。
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キャップが外れるとびよ~んと中のスプリングが開放されてフォークが伸びる。
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この状態でもう一度フォーク上部に戻り、上部のボルトを完全に取り外す。
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するとインナーチューブが取り出せる。ダンピング機能を持たない、本当にシンプルなサスペンションだ。
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グリスまみれでとてもじゃないけど触りたくないので、灯油を使ってきれいにする。スプリングは上下の金属部品にねじ込まれているだけなので、回せば分解できる。
今回やりたいことをするだけなら分解作業はここまでで良いのだが、全バラしてみたいので次に進む。
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インナーフォークとスプリングをつなぐ金具は、真鍮カラーとピンで固定されているので、ピンを抜く。本物のピンは直径4mmらしいのだが、中華のピンは直径5mmなので、適当に4mmの六角レンチを当ててハンマーで殴ってみたところ、抜くことができた。よく見るとピンには方向性がある。
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全バラしたインナーフォークがこれ。各部品のバリがすごかったり、スプリングの端面処理が適当だったりと色々気になることはあるが、ちゃんとバンプラバーがあったり、プリロードをかけるためのプラスチックカラーがあったりと、シンプルな割に部品点数が多い。分解時に出てきたシールは左右ともボロボロに千切れていたが、交換するパーツがないので今回はそのまま組み直す。
アルミ缶でフォークのガタツキを抑える
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中華ダックスのフォークは、このプラスチックのスリーブブッシュがインナーフォークを唯一支える構造になっている。本物は先程の真鍮カラーがもう少し太く、スリーブとカラーの2点でインナーフォークを支える構造らしいのだが、簡略化されてしまっているようだ。まぁいいでしょう、スリーブさえちゃんとしていれば(ある程度は)どうにかなるはず。
で、このスリーブ、構造的に見てもアウターフォークとインナーフォークにほぼ隙間なくぴったりはまらなければならないはずなのだが、
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インナーフォークよりも内径が大きい上、アウターフォークよりも外形が小さい。
フォークがガタつく原因は完全にこれのせい。ただインナーフォーク側の隙間を詰めるのは難しいので、アウターフォークとの隙間を詰めたい。そこで目に入ったのがこれ。
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A&W ROOT BEER!まずはこれをぐいっと飲み干して栄養補給。誰だ湿布臭いとか言った奴は。
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A&Wを美味しく頂いた後は、カッターやハサミを使って分解。
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アルミ缶を一周巻いてスリーブを入れる。スリーブはスライドしないので、このアルミ缶は特に固定せずとも動くことは無いはず。
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ガタツキチェック。ガタはまだあるが、元の状態に比べると減った感じ。アウターフォークの精度も悪いので、これ以上アルミ缶を詰めるのも得策ではなさそう。スリーブに縦溝を切って、更にアルミ缶を巻いて内径外形ともに詰める方法も考えたが、今回はここまでにしておく。
組み立て
あとは組み立てていくだけなのだが…
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この真鍮カラーが本当に酷い。精度があまりにも悪すぎてまともに穴位置が合う場所が無い。適当にハンドドリルで穴開けて作ってるとしか思えない。物作るってレベルじゃない。
どうにか組み合わせを見て穴位置がなるべく合う場所に合わせてピンを打ち直したのだが…、
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1本の片側は割れてしまった。反対側は繋がっているので今回はこれで良しとしておこう…。ってか中国工場のおばちゃんはどうやって割らずにピンを刺すのか知りたい。神の手を持っているのかもしれない。
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無事(?)に組み上がったら、スプリングの部分にウレアグリスを適当に塗っておく。
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インナーチューブを戻す際に、先程作ったアルミ缶の切れ端をスリーブに巻いて組付け。
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後はきっちり組み立てれば作業は完了。
ガタが激減!スムーズな足回りをGET
結局インナーフォークとスリーブとの隙間は埋められてないし、そこまで効果はないかな~と思いながら車両を揺すってみたら…
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ガタツキ激減!!!
もちろんまったくないわけじゃないのだが、そんなことよりもこちらの効果のほうがすごい。
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ストロークがスムーズ!!!
今までは、
地面からの入力→ガタつく→インナーが斜めになる→負荷がかかる→うまくストロークできない
という段階を経ていたのが、
地面からの入力 →(わずかなガタ)→ストローク
となったことで、脚がしなやかに動くようになった。すごい。
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実際にテスト走行してみたが、明らかにフロントサスペンションがよく動く。段差を超えても吹っ飛ばされそうになる感じがないし、コーナリングの安心感も段違い。それでいてチープな乗り味は変わっていない。危ないところだけ排除されて、楽しいところはそのままだ。これはすごい。こうなってくると、ギコギコ言ってるリアサスペンションが更に気になってくるが…。
とはいえ、流石にアルミ缶を切って詰める改造はあんまりよろしくはない。中華のインナーパイプは純正よりわずかに太いらしいが、流用できないことはないらしいので、素直にホンダ純正のフォークパイプガイド(品番:51502-045-670)とスライドパイプ(品番:51507-098-000)を多少加工しつつ使うほうが良いと思う。更にガタが減って超快適になるらしい。
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